難しい買い物

コンビニでの買い物というのは、これでなかなか難しいものだったりする。そんなもん買い物カゴにどかっと放り込んでレジ持ってくだけじゃん、と言われればそりゃそうなんだが、この場合、難しさの本質はレジに持ってった後に発生するのが困るところだ。

例えば「雑誌と、ヨーグルトと、あったかい缶コーヒーと、コンビニ弁当」をカゴに入れてレジに持ってったとする。そうすると大抵の店員(たぶんアルバイト)は、「雑誌とヨーグルト」を1つの袋に、「コンビニ弁当と温かい缶コーヒー」を別のもう1つの袋に入れるだろう。温かいものは温かいもの同士、というわけだ。

これが困る。

缶コーヒーの缶というのは、まず間違いなく円筒形をしている。これをコンビニ弁当と一緒の袋にいれると、どうしてもバランスが悪い。弁当の上に乗せるなら、まさか縦に立てて置くわけにも行かないから、普通は横に置く。すると、家に持って帰る道中、弁当の上を缶コーヒーがゴロゴロ転がる。転がるだけならともかく、けっきょく袋の端に落ち込んで袋全体の重心を著しく偏らせ、あまつさえ水平にあるべき弁当を傾かせ、気がついたときには垂直に近くしていたりする。ご飯も惣菜も一緒くたにまぜこぜになっていたりする。

気が利いた店員なら、袋に入れるときに「こちら、缶コーヒーは雑誌と一緒の袋でよろしいですか?」と訊いてくれる。これなら「雑誌 + ヨーグルト + 缶コーヒー」と「コンビニ弁当」という振分けになるので、なにも問題は発生しない。

店員が訊いてくれないなら客であるこちらから「缶コーヒーはこっちの袋に入れてください」と言わねばならないが、客というのは大抵、店員が勝手にちゃんと袋詰めしてくれるものと思っている。したがってついうかうかと、「缶コーヒーはこっちの(略)」と言うべきタイミングを逃してしまうのだ。

でも、これでもまだ買い物としては簡単な方だ。例えば上の買い物リストに「アイスクリーム」を付け加えてみるがいい。冷たいものと温かいものを一緒の袋に入れるわけにはいかないから、さらに難度が高くなるのが分かるだろう。

コンビニでの買い物というのは、かのように難しい。なまじ何でも気軽に買えてしまうがゆえに、難しい。